4月6日、手術前日に入院

 さて、手術前日となった。今日から入院ほにゃくライフが始まる。病院で事前にもらったパンフレットに用意するものが書いてある。それに加え、充実したほにゃくライフのために用意したものを下に書いちゃうぞ。

 

・パソコン (わざわざ新しいのを買った!画面が大きいほうがいいかな、と思って。)

・USBメモリ(病院のWi-Fi はあくまでも調べものやLINE用で、納品には使わないつもり。なので、USBに保存して宅配便で納品する予定)

後日追記:納品日が後ろに延びてくれたので、病院から納品する必要はなくなった。よかった。セキュリティが心配だったので、できればやりたくなかったから。

 

・映像を入れた外付けHD(パソコンをできるだけ軽くしたいし~)

・SSTのドングル

・電子辞書

 

上にも書いたけれど、セキュリティには気を遣う。鍵がかけられるコロコロのキャリーを持っていき、大きなものはそれに入れて鍵をかけ、さらに鍵つきのワイヤでベッドに固定。手術中、および麻酔から覚めるまでの間、さらにリハビリでベッドから離れる時はそれに収納した。

 

また、小さなもの(USB、ドングルその他)はベッド脇のセーフティ・ボックスに入れた。

 

翻訳中は接続を遮断。ネットでの調べ物はまとめてやり、その間は映像やデータが入っているUSBメモリをパソコンから外した。念には念を。

 

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☆翻訳以外のブツで欠かせないもの

 

・上等なオヤツ(病院にはコンビニがあるけれど、上等なお菓子は売っていない。娘がデパ地下で厳選して買ってきてくれた。NO おかし、NOライフのワタシとしては欠かせないものの1つ)

・小さな魔法瓶 (後日追記 これを今回、持っていくのを忘れてしまって後悔した。病院のコンビニではホットコーヒーが売られているのだけど、紙コップではすぐ冷めちゃう。みんなポットに入れていて、羨ましかった。)

 

・ふりかけ(定番!病院の食事を少しでもおいしく)

・マジックハンド (手術後はベッドから動けないし、術後もしゃがめないので落とした物は拾えない。私は持っていなかったのだけど、病院から長いくつべらをお借りしてそれで代用した)

・可愛いパジャマとハンドタオル (滅入りがちな入院ライフ、可愛いとテンションが上がる。タオルは多めに)

 

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4月7日 手術当日!

 いよいよ手術当日。そもそも入院するのはお産以来だし、全身麻酔なんて初めて。前日は21日以降は食事禁止。そして当日の6時以降は水もダメ。手術は9時からということで、朝8時には手術用の上っ張り(名前分からず)に着替えた。そして看護師さんと一緒に手術室へ。

 

 手術室に着くと、まるで映画かドラマのワンシーンのような光景が目の前に広がった。手術室のチームはみんな濃紺の術衣。か、か、かっちょいい!!そしてすぐ脇に水道の蛇口が並んでいる。む、ここでみんな手をきれいに洗うのね。うんうん、ドラマでよく見る光景だ。そしてそのあとは、手袋をして両手を上げたまま雑菌がつかないようにする。そう、例のポーズよん。かっちょいい。

 

 そして彼らの交わす会話は、ドラマそのもの!「ああ、今のセリフ、字幕に使える!」「あ、その専門用語、メモしたい!」とついつい思ってしまった。職業病である。

 

 手術台に上って横になるのだけど、不思議と緊張しない。まな板の上の鯉ってこんな感じか?と考えていた。そうこうするうちに酸素マスクがつけられ、あちこち管でつながれ、点滴に麻酔薬が入った。ん?ちょっとしみる。なーんて思っているうちに・・・

 

 

     んが~~~zzzzzz....

 

 

 次に目が覚めたときは、もうすべて終わっていた。さよなら、私の右股関節。今まで頑張ってくれてありがとう。もうヨレヨレだよね、ごめんね、たくさんドイツの街を歩かせて。ようこそチタンの股関節君。これからよろしく頼むよー。

 

 麻酔は事故もたまにあるというけれど、幸いにも私はすぐにシャバに戻れたらしい。目が覚めたときの記憶は「あ、今エレベーターに乗っているんだな」。あの独特のふわっとした感覚をよく覚えている。

 

 しかーし。麻酔から覚めたあとは痛かった… 右脚は全体的にしびれているくせにズキズキする。手術後は脱臼しやすいから寝返り厳禁。ずっと同じ姿勢で寝ているから背中も腰も痛くてたまらなかった。

 

 麻酔の時に気管挿管/抜管された関係で、のどもチョ~痛い。文字通り絞り出すように声を出して看護師さんに泣きつき、痛み止めの点滴を追加してもらってようやく眠れた次第。

こ、こんな状態で充実の入院ほにゃくライフは送れるのだろうか・・・?

 

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右左を間違えないようマーキング。

 

 

4月8日 手術翌日

 痛み止めの点滴が効いたらしく、そのあとはすっと眠くなった。コロナのために病院は面会禁止。家族も来られない。さすがに心配するだろうと思い、看護師さんにスマホを出してもらい(セーフティ・ボックスに入れておいた)とりあえず無事であることを報告。そしてんが~~っと寝た。

 

  翌朝、ようやく食事。手術の日は何も口にしていなかったので、おなかがすいた。病院食はとてもお上品で控えめな味付け(爆)だけど、飢えていたワタシはおいしくバクバク食べた。手術翌日からリハビリが始まる。最初はベッド脇に置いた車いすに座れたら合格。それで終わり。

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 しかーし。点滴はつけたままだし、おしっこの管もまだ入ったまま。ベッドから起き上がるのも一苦労。我慢できないほどではないものの、右脚は股関節を中心に痛む。この夜もまた、痛み止めの点滴を入れてもらって就寝した。

 

 明日あたり、入院ほにゃくライフを始めることができるんだろうか…

 

 

4月9日 手術から2日後

 やれやれ、ようやく2日が過ぎた。そろそろ充実入院ほにゃくライフを始めたいところ。ところが朝の検温で微熱があることが発覚。手術後に微熱が出るのはよくあることらしい。7度6分くらいなので大したことはないのだけど、やっぱり頭がフラフラする。こりゃほにゃくは無理。頑張ってもロクな訳は出てこないだろう。

 

 ほんの少し進めたけれど、断念して横になった。午後からはリハビリ。この日は車いすで動けるようになることが目標。うん、意外といい感じ。そして動けることが何よりもうれしい。おしっこの管も外れ、点滴も卒業した。夜寝られるかどうか不安だけど、まあいつまでも点滴に頼るのはよくないだろう。抜いたらスッキリ。

 

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 手術の傷の跡はキレイだと言われたのだけど(最近は縫わないのね。びっくりしましたよ、あたしゃ。テープで留めて、その上からさらに保護する幅広のテープを貼って終わり。ただし太もも全体がなんとなく熱を持っていて痛い。ちなみに私の傷は太ももの前、少しだけ右端に寄ったあたり。手術の方法はいくつかあるらしく、太ももの横を切る方式もあるんだとか。ビキニなんて着るわけもないので(笑)傷が残っても平気。

 

訂正:縫ってあった💦💦 ただ、昔のような縫い方ではなさそう。そして抜糸もない。どういう風に縫ったのか知りたいような、知りたくないような… 今は傷口は大きく盛り上がっているけれど、何か月かするとまったいらになるらしい。

 

 そんなわけで、2日後もほにゃくは断念。

 

 

 

4月10日 手術から3日目

 3日目に入ったころから、元気が戻ってくるのを実感した。車いすで院内を自由に動けるようになったのも大きい。整形外科病棟は10階なのだけど、1階にコンビニがある。そこでコーヒーを買うのが楽しみになった。まるで「はじめてのおつかい」である。

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 リハビリも順調。杖で歩く練習をした。長い間、痛い右股関節をかばって歩いていたので、変な歩き方が身についてしまったらしい。「正しい歩き方」を取り戻すのがこんなに難しいとは。また、軟骨が摩耗したことで右脚は1センチほど短くなっていたらしい。今回、再び左右差がないように調整してくれているのだけど、なんだか違和感。右が長いように感じられる。これは錯覚だそうだ。片方が短い状態に体が慣れてしまっているため、左右差をなくすと違和感が残ると。これも克服課題。

 

 それ以外にも「自主練メニュー」を考えていただき、暇を見ては病室で頑張っている。先生から教わるのは1日50分。その短い時間にたくさん吸収しようと貪欲になる。

 

 元気が戻ってくると、がぜんほにゃくをしたくなる!強制でも義務感でもなく、とにかくほにゃくしたい。また、ほにゃく仕事があるということがいかにありがたいか、改めて痛感した。うん、ほにゃくとドイツ語は大好きである。

 

 

 

 手術から3日目、入院ほにゃくライフが始まった。

 

 

 

 

4月11日 手術から4日目

 4日目になると、だいぶ気分も上向いてくる。え?初日からテンション高めだっただろって?ワタシは血圧は低めだけどテンションは普段から高めであーる。当社比で手術直後はテンションが下がっていたのであった。

 

 リハビリも順調。杖であちこち歩いていいという許可が出た。気分転換を兼ねて、病棟内を歩き回った。ただし手術をした右脚は、太ももを中心に腫れてパンパン。皮膚が伸びて、もうぴちぴちである。こんなに張り(?)が出たのは何十年ぶりかって感じ。まだ伸びしろがあったのね、ワタシのお肌ったら。

 

 長年、私は股関節をかばって骨盤で歩いていたらしい。右脚を前に出すとき、普通の人は周囲の筋肉を使って動かす。私はそれができないので、骨盤ごと前に出していたそうだ。その歩き方がなかなか治らない。何より、手術後で脚の付け根から太ももにかけてパンパンでしびれているので、感覚がいまいち分からないのだ。うーむ、歩くことがこんなに難しいとは。

 

 それでも進歩が感じられるのはうれしい。先生も看護師さんも理学療法士さんも褒めてくださる。「褒めて伸ばす」教育が行き届いていると感じた。うん、やはり人間は褒められてナンボなのよね。

 

 テンションが上がるとほにゃくしたいという気持ちも高まる。だけど誤算があった。同じ姿勢を続けられない…!座っていると脚の付け根が痛くなるので、立ってみたり、お尻にクッションを入れたり。これは時間の経過とともに改善するだろう。

 

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 リハビリを終えると心地よい疲れ。こっそり持ち込んだ「上等なオヤツ」がほんとに嬉しい。コンビニでコーヒーを買い、ベッド周りのカーテンを閉めてひとり Kaffeepause。ヤバい。自分のベッドの居心地がどんどん良くなる…

 

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4月12日 手術から5日目

 今日は日曜日。外来はお休み+入院もなく、病棟も静か。リハビリもお休みであーる。理学療法士の先生から「自主練」のメニューを考えていただいたので、せっせとそれをこなしている。

 

 長時間 同じ姿勢をとらなければ、座り仕事もできるようになった。カーテンを閉めているので、他人にパソコンを見られることもない。検査などでベッドを離れるときは、パソコンを鍵付きコロコロにしまい、ベッドにチェーンで結びつける。時間が来ると食事が運ばれてくるし、食べ終わると下げてくださる。お風呂・シャワーはNGなので、看護師さんが体をふいてくれるし(途中から自分でやるようになったけど)「ここが痛いんですぅ~」と甘えて泣きつくと、優しい看護師さんが親身になってくださる。

 

 

 こ、これって極楽ではないだろーか???

 

 

 手術から5日目となり、もう絶好調のほにゃく犬である。

 

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4月13日 手術から6日目

 さて、今日は月曜日。病室の窓を見下ろすと線路が見える。JRと小田急線だ。小田急線は5時ちょうどに始発が発車する。その踏切の音が聞こえると「ああ、今日もまた1日が始まるんだな」と思うようになった。電車や踏切の音がうるさいと言う患者さんもいるけれど、私はこの音になぜか励まされる。「ああ、みんな頑張って働いているんだな」と。

 

 日曜日はリハビリがお休みだったけれど、今日からまたスタートする。杖を使ってあるくのだけど、なかなか調子がいい。杖をつかなくても平気なくらい。それを見た先生が「杖も卒業しましょう」と。ぬゎんと、フリーハンドで歩けるようになった!

 

 …とは言え、痛い右股関節を長い間かばって歩いてきたこともあり、正しい筋肉がまったく使えていない。筋肉の使い方を忘れてしまったようだ。そして筋肉たちは使われずにいたので、コチコチに硬くなってしまっていた。

 

 

     なんてこったい!!

 

 

 右の股関節周りは、ほんとにコチコチ。痛みを我慢しながら無理に歩いたりしないで、もっと早く手術をすればよかったのかもしれない。さらに無理をしていたら、腰やひざもダメにしてしまうところだった。私は左股関節も悪いのだけど、右ほどではない。だけど左が悪くなるのも時間の問題。そう遠くない将来、左の手術も受けようと思った。

 

 

 入院ほにゃくライフはなかなか順調である。リハビリやら検査やらで途切れるけれど、いろんなことで集中が途切れるのは自宅にいても同じ。宅配便やら生協やら、ワンコの「散歩に連れてけ~~攻撃」やら。家事もしなくていいし、自分のことだけ考えていればいい。ああ、クセになりそう。

 

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 この病院には外来棟(病棟と並んでいる)の屋上が庭園になっている。誘ってもらい、行ってみた。久しぶりに吸うシャバの空気。気持ちがいい!

 

 同室の方が撮った画像(↓)。とてもきれい。この方とはとても話が合い、仲良しになった♬ 毎日が修学旅行状態である。楽しい。

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4月14日 手術から1週間

 今日は4月14日、手術から7日目である。入院ほにゃくライフは、もう順調そのもの。ここ数日、1日の流れはこんな感じであーる。

 

 

☆明け方3時か4時頃

 毎晩、3時か4時に目が覚めてしまう。9時消灯だから、普段6時間睡眠ゆえにこのころに目が覚めてしまうのだろう。それから頑張ってもう一眠り。

 

☆明け方5時

 一番列車の時間。踏切が鳴り始めるので目が覚める。窓側のベッドなので、カーテンを開ければもう明るい。朝ホンの始まり。

 

☆朝6時

 起床時刻である。看護師さんがカーテンを開けてくれ、脚にフットポンプをつけてくれる。6時から7時までポンプタイム(血流をよくし、血栓を予防するためのポンプである。嫌いな人が多いけれど、私は大好き♪)ポンプをしてもらうと朝ホンも絶好調!

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 さらに看護師さんが血圧や血中の酸素濃度を調べてくれる。

 

☆朝8時

 朝食。なんでも食べるぞ!

 

☆午前中

 体ふき。ほかほかのおしぼり(不織布製)をいただき、自分でふきふき。

 

☆一日のどこか(毎日、時間は変わる)

 リハビリ、そして自主練

 

☆12時

 昼食。なんでも食べるぞ!そのあと、昼ホン開始。

 

☆15時

 こっそりおやつタイム。1階のコンビニでコーヒーを買い、カーテンを閉めてお菓子をむしゃむしゃ隠れ食い。至福の時であーる。

 そのあと、夕(ゆう)ホン開始。

 

☆18時

 夕食。なんでも食べるぞ!そのあと、シャンプー用の洗面台で洗髪。

 

☆19時~

 インターネットタイム。Wi-Fiが通っているエリアで調べ物をしたり、LINEを書いたり。

 

☆21時~

 消灯。おやすみなさーい。

 

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…とまあ、こんな毎日の連続。これは病みつきになりそう。

 

      快適すぎる!!!

 

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4月16日 手術から9日目

 手術から9日が経過した。傷の腫れもだいぶ引き、傷自体のズキズキは消えた。しかーし。安心したのもつかの間、夜眠れないほどの筋肉痛が!!!!Muskelkater(直訳すると筋肉の雄猫)で眠れないなんて信じられない。

 

 今まで使っていなかった筋肉を使うようになったからだろうか。毎晩、1時か2時頃に痛みで目が覚めるようになり、それから眠れなくなってしまった。トホホ。仕方なく、看護師さんに痛み止めを持ってきてもらい、それを真夜中に飲むようになってしまった。あーあ。早くこれが不要となるといいのだけど。

 

 術後1週間が経過したので、朝と昼のフットポンプは終わり。 機械もベッドから外されて去っていった。ガックシである。あの、空気圧による優しい締め付けが好きだったんだけどなー。

 

 去る者あれば来る者あり。今日から理学療法士さんによるリハビリに加え、作業療法士さんによる指導が加わった。日々の生活で気をつける動作などを教えてくださる。また、しゃがみ方、起き上がり方、階段の上り下りのやり方など、具体的な動作も手取り足取り。人工股関節の弱点は「脱臼」。これが起きるとえらいこっちゃになるらしい。だから脱臼しないような姿勢を覚えなくては。

 

 ここから先はジマン。私はとても回復が早く、あっという間に車いすも杖も卒業してしまった。主治医の先生が「早めに退院しますか?」と聞いてくださったので「はいっ」と即答した。即答したあとでちょっぴり後悔。三食昼寝付き、看護師さんによる優しいケア、同室やお隣の部屋の人たちとの楽しい「人工股関節談義」、ほにゃく仕事し放題…。この心地よい居場所を自ら放棄するのか?イケメン理学療法士さんとも会えなくなるぞ。帰宅すれば家事が待っている。誰も私をチヤホヤしてくれない…

 

 先生は「気が変わったら、もっと長くいてもいいですよ」と言ってくださったけど、ワンコに会いたいのでやっぱり早く退院することになった。退院日は週明けの19日(月)。寂しい。

 

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懐かしい黒糖入り食パン。意外と美味しい。

 

 

 

4月18日 手術から11日目

 今日は2度目の日曜日。リハビリもお休みだし、看護師さんも少なめな気がする。また、外来もお休みなので全体的に静か。昨日は嵐だったけれど、今日は朝から快晴で気持ちがいい。こののんびり入院ほにゃくライフもあと1日かと思うと本当に寂しい。水曜日までいればよかったかなあ…

 

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 最初、個室にしようかと思った。でも14日間ずっと個室だとお財布に響くので、回復してから10日間くらい個室にしようかとケチなことを考えていたワタシである。しかーし。同室の方がとてもよい方で初日から意気投合。同じ病気、同じドクターによる同じ手術、同じ苦労。連日、股関節談義で盛り上がる。カーテンさえ閉めれば個室みたいなものだし、「相部屋でいいや♪」と思ってそのままにした。そうこうするうちに「相部屋いい」と思うように。

 

 私の股関節を手術してくださった先生は、ゴッドハンドの持ち主だそうだ。人工股関節置換手術にはいろいろ方法があるそうなのだけど、私の傷口は前方。これは前方アプローチというそうで、筋肉を切断せず、傷口が小さいので術後の回復が早いという利点があるという。また、人工股関節の最大の弱点である脱臼が比較的起こりにくいのがさらなる利点だとか。ただし手術法が難しく、誰でもできるわけではないらしい。手術前に人工股関節の見本を見せていただいたのだど、えらくゴツくて驚いた。ところが私の傷口はとても小さい。どうやって入れたんだ???そもそも、こんな小さな傷口から、どうやって元の股関節を切除して取り出したんだ?筋肉や血管、そして神経を傷つけることなくやってのけるのだから、やはりゴッドハンドだと思う。ありがたや。

 

 明日はいよいよ退院。仕事が山のようにあるので、早く日常生活に戻さなくては。

 

 

 

 

 

 

 

4月19日 いよいよ退院

 今日はいよいよ退院であ~る。本来なら手術の2週間後、私の場合は21日が退院予定日なのだけど、術後の回復が早かったので2日早く出られることになった。先生は先日、「金曜日でもいいですよ」と言ってくださったのだけど(週末は事務が閉まっているから退院できないらしい)、もう少し理学療法士さんからアドバイスもいただきたかったので、月曜日にした次第。

 

 朝9時10分から理学療法士さんによるリハビリ、そして9時30分から作業療法士さんによる日常生活のアドバイスを受けた。それで終わり。周りを片づけ、2週間ぶりにメイクをし(といってもファンデーションを塗るのと目の周りを少し隈取り(?)する程度だけど。仲よくなった患者仲間の皆さんと別れるのは名残惜しい。LINEでこれからもやりとりする約束をし、看護師さんたちにお礼を言って別れた。寂しい。

 

 最近はお会計も楽ちん。自動精算機に診察券を入れると金額が表示される。クレジットカードを入れて、暗証番号を入力したら終わり。うむ、技術の進歩はすばらしい。あとはタクシーで自宅へ。

 

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 実は入院する前に、仕事の上でもやもやっとすることがあり、本宅のブログで愚痴をこぼしてしまった(あとで恥ずかしくなって消したけど)。だけど入院してつくづく感じたのは、自分にはほにゃくしかないということ。NO ほにゃく、NO LIFE である。ほにゃくができるというのは最大の喜び。入院生活も、皆さん退屈しておられたけれど、私はヒマさえあればパソコンに向かっていたので退屈することは皆無だった。「なにも入院してまで翻訳しなくたって…」とも言われたけれど、私にとっては逆。「入院したからこそ、家事もせずに翻訳ができる」のであった(苦笑)。体に気をつけ、体力をつけ、これからもドイツの街をせっせと歩いて見聞を広め(コロナが去ってくれないとダメだけど)勉強して知識を身につけたいと心から思った。このように自分を省みる機会を与えられたことにひたすら感謝。そして、こんな大変な時期なのに患者1人1人に寄り添い、心を込めて治療に当たってくださった医療関係者の皆様に心から感謝した。これからも精進しよう。作品へのリスペクトを決して忘れず、またご縁に感謝することも忘れず、少しでもよいほにゃくができるよう努力しなくては。

 

 

<ただし…>

 セキュリティの問題があるので、なんでも病室でほにゃくするのはオススメできましぇん。クライアントの許可をもらうことが必須だと思います!!特に映像の取り扱いには細心の注意を払うことが求められます。

 

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4月21日 退院から3日目

 一昨日退院し、今日は3日目だった。看護師さんや理学療法士さんが「日常生活を送るのが最良のリハビリ」とおっしゃったのだけど、それを実感している。最良かどうかは分からないけれど、とにかく動くことが多い… 入院していた頃は、それこそ廊下を歩くのもやっとだったし、リハビリの先生の指導を受けながらやっとこさ階段を上ったりした。ヤンキー座りなんてトンデモナイ!無理無理、絶対に無理!!(リハビリの一環で、ヤンキー座りをやりかけて断念)

 

 …ところが家に帰ってくると、ひざまずいて床下収納から買い置きの醤油を出したり、お風呂のすのこを上げたり、大きめで重いジョウロを持って植木に水をやったり、中腰でトイレを掃除したり、洗濯物を干しに2階へ上がったり… いやもう、動くこと動くこと。あんなにこわごわ動いていたのがウソのよう。ただし無理は利かないのでちょっと動いたら座って休憩するようにはしている。

 

 ところで我が家には、ほにゃく犬 Milka がいる。理学療法士さんに「あの~ 退院したら犬の散歩ってしていいんですか?」と尋ねたところ、「うーん、大型犬とか猛犬みたいな犬だと、引っ張られて転んだりするので当分はオススメしません」との答えが返ってきた。はて、うちの Milka は大型犬もしくは猛犬だろうか?

 

…うーむ。存在感は大きいけれど、カラダ的にはちっこい部類かも…

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 昼は絶好調なのだけど、夜になるとずーんと来る。右の太もも全体が痛い。筋肉痛というレベルじゃない。なんでこう痛いのかと思っていたら、思い出した。ゴッドハンドの先生のサポートをしている若い先生に、「なんで痛むんですか?」とお聞きしたところ、次のような答えが返ってきた。「脚の組織をかきわけ、かきわけして人工関節を入れていくのでどうしても炎症が起きるんですよ」と。うーむ。かきわけたのか。なるほど痛いはずだ。その会話を思い出しただけでも、右足がじーんとしてくるくらい。今も真夜中に痛みで目が覚め、暗闇の中でロキソニンを飲んでいる。もう少しの我慢かな。

 

 

 

 

 

4月22日 退院後の初検診

 今日は退院後の検診だった。普通は退院する前日に診察を受けて、OKだったら退院となるらしい。でも私は退院を2日早めていただいたので、退院後の診察となった。血液検査とレントゲンによる診察であーる。

 

 人工関節が入った自分の股関節のレントゲン画像を見るのは初めて。

 

 

 す、す、すごい!! デカイ!

 

 

 …これが第一印象。いや、ネットでそういった画像を見たことはあったけど、こんなゴツい器具が自分の股関節にもぶっ刺さっているかと思うと新鮮である。血液検査も問題なく、炎症や過剰な免疫反応も見られないとのこと。一安心であーる。

 

 まだ太もも全体が痛いので、颯爽と歩くというわけにはいかないけれど、少なくとも股関節の痛みは消えた。2週間前の朝、よろよろしながら手術を受けるべく病院へ行った日のことを思い出すとなんだか感慨深い。改めて医療関係者の方々に深く感謝した。

 

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高島屋から見た景色。茶色がかかったピンクっぽい建物が病院。私がいた1010号室も写っている。端っこ、上から4つ目。

 

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  しかしいいことばかりではない。太もも全体の痛みが消えない。処方された痛み止めを寝る前に飲むのだけど、どうやらそれが真夜中に切れるらしい。2時か3時に決まって痛みで目が覚める。眠れないので痛み止めを再び服用。少しすると効いてくるのが分かる。そしてようやく眠れる。うーむ。痛み止めは退院後も2週間分処方されているので、当分は続くということか。

 

 そして夜の頑張りがまったく利かない。9時頃になると、体に鉛が詰まったみたいになり、起きていられなくてバタンキュー。うーむ。充実したほにゃくライフはまだ先かもしれない…

 

 

4月29日 手術から3週間と2日

 今日で手術から3週間と2日が経った。昨日、一昨日と2日連続で夜中に目が覚めなかった!痛みは少しずつ改善しているのかもしれない。朝起きたとき、起き上がって1階へ下りていくのが一苦労だったのだけど(寝ている間は脚を動かさないからか、筋肉がコチコチになっている感じ)今日は比較的スムーズに起きられた。なんとなく回復が肌で感じられて嬉しい♬ そういえば、脚のむくみも減ってきたような。

 

 入院中に理学療法士さんから教わったストレッチ&簡単な体操は今も続けている。これをやると歩きやすくなる。やはり筋肉や腱を柔らかくするのは大切なことなのだと痛感する。

 

 幸か不幸か、仕事がギッチリである。座り仕事は下半身によくないというのも今回実感。1時間に1回は立ち上がってうろうろ歩くようにしている。理学療法士さんや作業療法士さんから「とにかく退院したら1ヵ月は無理しないで」と言われた。「焦らないで」とも言われたのを思い出す。日常生活に戻ると、いろいろ欲もでてくる。買い物へも行きたいし、人とも会いたくなる。しかーし。今の東京は緊急事態宣言下。家でおとなしくしていよう。

 

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 入院中、仲よくなったお友達と今もLINEでやりとりをしている。1年後、北鎌倉のおしゃれなレストランに集まって一緒にお祝いする約束をした。楽しみ!1年後には北鎌倉へでも、ドイツへでも問題なくスタスタ歩いていけることを楽しみに頑張ろう。